朝から現場に出ている間に何本も着信が残り、折り返したころには相手がもう別の会社に頼んでいた。店が混む時間帯に限って予約の電話が鳴り、目の前のお客様を待たせてしまう。電話対応を誰かに任せたいと考え始めるのは、たいていこういう日が続いたときです。
そこで気になるのが、コールセンターを外注したときの費用の相場です。ただ、最初にお伝えしておくと、外注費用は「一件いくら」「月いくら」と一つの数字で語れるものではありません。料金体系、受ける時間帯、電話の中身、対応の深さによって、同じ「電話代行」でも金額の桁が変わることがあります。地域や業界、委託先の規模によっても違います。
この記事では、具体的な金額を並べる代わりに、見積もりを見たときに「高いのか安いのか」を自分で判断できるようになることを目指します。料金の仕組み、金額を左右する条件、見積もり前にやるべき準備、そして人が電話を取るべき場面まで、順番に整理していきます。
コールセンター外注の費用相場が一つに決まらない理由
コールセンターの外注と一口に言っても、中身はかなり幅があります。大きく分けると次のような違いです。
- 一次受付だけか、案件を解決まで担うか:名前と用件を聞いてメールで知らせるだけの受付と、製品の使い方を説明したり予約を確定させたりする対応とでは、必要な研修も人員も違います。
- 専任か共有か:自社の電話だけを受けるオペレーターを置くのか、複数の会社の電話を同じチームで受けるのか。
- 受付時間:平日の日中だけか、夜間・土日祝・年末年始まで含めるか。
- 受電か発信か:問い合わせを受けるインバウンドと、案内や営業の電話をかけるアウトバウンドは別の見積もりになるのが普通です。
つまり「相場」を調べる前に、自社が欲しいのはどのタイプなのかを決めないと、比較そのものが成り立ちません。ネット上で見かける料金表の金額がばらばらに見えるのは、比べているものがそもそも違うからです。
外注費用の主な料金体系
委託先の料金は、おおむね次のいずれか、またはその組み合わせで組み立てられています。
月額固定型
毎月決まった金額で、一定の件数や時間帯の電話を受けてもらう形です。予算が読みやすいのが利点ですが、含まれる件数を超えると追加料金がかかる契約が多く、逆に電話が少ない月でも同じ金額を払います。電話の本数が毎月ほぼ一定の会社に向いています。
従量課金型
受けた件数や通話時間に応じて料金が決まる形です。電話が少ない時期は安く済みますが、繁忙期やキャンペーン時には請求が膨らみます。「一件」の数え方(無言電話や間違い電話を含むか、何秒以上を一件とするか)が委託先によって違うので、必ず確認が必要です。
専任席型
自社専用のオペレーター席を確保し、席数と時間で料金が決まる形です。業務の理解が深まり、対応品質を揃えやすい一方、最も費用がかかりやすい形でもあります。問い合わせの件数が多く、内容も専門的な会社向けです。
見落としやすい別料金
月額や件数単価とは別に、次のような費用が発生することがあります。
- 初期費用(台本・マニュアルの作成、研修、回線の設定)
- 夜間・休日の割増
- 報告の方法による追加料金(電話での即時連絡、チャットツール連携など)
- 台本の変更や営業時間の変更にかかる手数料
- 最低契約期間と、途中解約時の扱い
見積もりの総額は、この「別料金」で大きく変わります。月額だけを比べて決めると、あとで想定外の請求に驚くことになりかねません。
見積もり額を左右する条件
同じ料金体系でも、次の条件によって金額は上下します。見積もりを依頼する前に、自社の状況を書き出しておくと話が早く進みます。
- 月にかかってくる電話の本数と、その偏り:毎日均等なのか、月曜の朝や月末に集中するのか。
- 一本あたりの通話の長さ:用件を聞くだけなら短く、相談や説明が入ると長くなります。
- 対応してほしい内容:伝言だけか、予約や注文の受付までか、よくある質問への回答までか。
- 受付時間帯:営業時間内の取りこぼし対策なのか、夜間・休日もカバーしたいのか。
- 言語:日本語だけか、外国語の問い合わせにも対応してほしいか。
- 緊急時の連絡ルール:どんな電話なら担当者の携帯に直接つなぐのか。
小さな会社の一日で考える:何を外注すべきか
具体的な例で考えてみます。従業員数名の設備工事会社を想像してください。
- 8時半:社長と職人は全員現場へ。事務担当は午後からの出社で、事務所には誰もいません。
- 9時15分:エアコン修理の依頼の電話。誰も出ず、留守電にもメッセージは残りませんでした。
- 11時:取引先の工務店から、来週の工程確認の電話。社長の携帯に回りますが、作業中で取れません。
- 13時:事務担当が出社し、着信履歴に折り返しますが、朝の修理依頼の相手はすでに別の業者に頼んでいました。
- 19時半:水漏れの相談の電話。営業時間外で、誰も対応できません。
この一日を振り返ると、外注したい電話は二種類あることがわかります。一つは「名前・住所・症状・希望日時を聞いて記録してくれれば十分な電話」。もう一つは取引先との工程調整のように「社長本人が話すべき電話」です。
前者だけを外に出し、後者は社長の携帯に転送するか、要点をまとめて知らせてもらう。こう切り分けるだけで、必要なのは高価な専任席ではなく、一次受付と記録で足りるとわかります。見積もりを取る前にこの整理をしておくと、必要以上のプランを勧められても判断できます。
見積もりを取る前の準備手順
- 一〜二週間、電話を記録する:時間帯、用件、通話の長さ、取れなかった電話をメモします。着信履歴を見るだけでも傾向がつかめます。
- 電話を三つに分類する:「記録だけでよい」「その場で予約・注文を受けたい」「必ず自分が話すべき」の三つです。
- 外注したい時間帯を決める:日中の取りこぼし対策か、夜間・休日か、両方か。
- 伝えてほしい情報の項目を決める:名前、連絡先、用件、希望日時など。業種ごとに必要な項目は違います。
- 報告の受け取り方を決める:メール、チャット、電話のうち、自分が実際に見られる方法を選びます。
- 同じ条件で複数社から見積もりを取る:条件をそろえないと、金額だけ比べても意味がありません。
- 別料金と契約条件を確認する:初期費用、割増、最低契約期間、解約の手続きまで書面で確認します。
外注でよくある失敗
- 安さだけで選ぶ:件数単価が安くても、一件の数え方や別料金で結局高くつくことがあります。
- 台本を作り込まない:委託先は自社の事情を知りません。「よくある質問とその答え」「断ってよい依頼」「すぐ連絡すべき電話」を最初に渡さないと、対応がちぐはぐになります。
- 報告を受けっぱなしにする:伝言が届いても折り返さなければ、外注した意味がありません。誰がいつ確認するかを決めておきましょう。
- 契約期間を確認しない:試しに始めたつもりが、長い最低契約期間に縛られることもあります。
人が電話を取るべき場面
外注や自動化が向いているのは、用件の型がある程度決まっている電話です。一方、次のような電話は人が直接対応したほうがよい場面です。
- クレームや、相手が強く動揺している電話
- 金額交渉や契約条件の相談
- 医療・法律・安全に関わる判断が必要な電話
- 長く付き合いのある取引先との込み入った話
外注先には「この種類の電話はすぐ担当者に回す」というルールをはっきり伝えておきましょう。すべてを任せるのではなく、任せる電話と自分が取る電話の線を引くことが、費用を抑えつつ信頼を守るいちばんの近道です。
まとめ:次にやること
コールセンター外注の費用は、料金体系と条件の組み合わせで決まり、相場を一つの数字で覚えても役に立ちません。まずは一〜二週間、自社の電話を記録して、「記録だけでよい電話」「その場で受け付けたい電話」「自分が話すべき電話」に分けてください。そのメモを持って、同じ条件で複数の委託先に見積もりを依頼すれば、金額の妥当性は自然と見えてきます。
なお、人のオペレーターによる外注のほかに、AIが電話を受けて予約や伝言を処理する方法もあります。型の決まった電話が多く、夜間や休日の取りこぼしが悩みなら、選択肢の一つとして比べてみる価値があります。
よくある質問
電話の件数が少なくても外注できますか?
できます。件数が少ない会社は、月額固定型よりも従量課金型や、一次受付だけのシンプルなプランのほうが無駄が出にくい傾向があります。ただし最低料金や最低契約期間を設けている委託先もあるため、件数が少ない月にいくら払うことになるのかを、見積もりの段階で必ず確認しておきましょう。
夜間や土日だけ外注することはできますか?
多くの委託先が、時間帯を限定した契約に対応しています。日中は自社で受け、営業時間外だけを任せる形は、小さな会社でよく選ばれる使い方です。ただし夜間・休日は割増料金になることがあるので、時間帯ごとの料金と、緊急時に誰へどう連絡が来るのかを事前に決めておくことが大切です。
見積もりで必ず確認すべき点は何ですか?
月額や件数単価だけでなく、初期費用、夜間・休日の割増、「一件」の数え方、報告方法の追加料金、台本変更の手数料、最低契約期間と解約条件を確認してください。これらは委託先ごとに違い、総額に大きく影響します。口頭ではなく書面で受け取り、同じ条件で複数社を比べるのが安全です。
AIの電話受付と人のコールセンターはどう使い分けますか?
予約、注文、伝言、よくある質問への回答など、型が決まっている電話はAIでも対応しやすい分野です。一方、クレーム対応や価格交渉、専門的な判断が必要な相談は人が向いています。AIで一次受付をし、込み入った電話だけを担当者に回すという組み合わせも現実的な選択肢です。
Ringhumは、AIが24時間電話に出て、予約や注文の受付、伝言の記録、WhatsAppでの返信までを担う電話受付サービスです。人のオペレーターのように込み入った相談を引き受けるものではありませんが、型の決まった電話の取りこぼしを減らしたい会社には合っています。料金の仕組みは料金ページで確認でき、業種別の使い方は企業向けページや個人事業主向けページで紹介しています。