朝から現場や接客に追われ、気づけばスマートフォンに不在着信が三件。夕方に折り返すと「もう他にお願いしました」と言われる。小さな会社や店舗では、こうした一日は珍しくありません。電話を外に任せようと考えたとき、まず気になるのがコールセンター外注の相場でしょう。
先にお伝えしておくと、コールセンター外注の料金は「だいたいいくら」と一言で言えるものではありません。料金体系、対応時間、受電の量、業務の複雑さ、業者の規模や地域によって大きく変わるからです。そこでこの記事では、根拠のない金額を並べる代わりに、見積もりがどう組み立てられているか、自社の場合に何が費用を押し上げるのかを整理します。
仕組みが分かれば、複数の業者から届いた見積もりを同じ物差しで比べられます。「高いのか安いのか分からないまま契約する」という状態から抜け出すのが、この記事の目的です。
コールセンター外注の料金体系は主に3つ
業者によって呼び方は違いますが、料金の組み立て方は大きく三つに分かれます。多くの業者は、これに初期費用を組み合わせています。
月額固定型
毎月決まった基本料金を払い、一定の件数や通話時間まで対応してもらう方式です。含まれる件数を超えた分は、一件ごとの追加料金になるのが一般的です。受電件数がおおむね読める会社には予算を立てやすい方式ですが、件数が少ない月でも基本料金はかかります。
従量課金型(件数・通話時間ごと)
受けた件数や通話時間に応じて支払う方式です。電話が少ない会社にとっては無駄が出にくい一方、繁忙期や広告を出した直後に件数が跳ね上がると、請求額も一緒に増えます。通話時間を何秒単位、何分単位で計算するのかによっても総額が変わるので、必ず確認しましょう。
席単価・時間単価型(専任オペレーター)
オペレーターを一人あるいは複数人、自社専用に確保してもらう方式です。複雑な商品説明や一次対応まで任せたい場合に向いています。対応の質は安定しやすいものの、件数にかかわらず人件費相当の料金が発生するため、三つのなかでは規模の大きい会社向けの選択肢になりがちです。
初期費用と運用費
マニュアル作成、オペレーターへの研修、専用番号の用意、システムの設定などに初期費用がかかる場合があります。契約後にマニュアルを変更するたびに費用が発生する業者もあります。月々の料金だけを見て比べると、こうした費用を見落とします。
外注の相場を左右する主な要素
同じ料金体系でも、次の条件によって見積もり額は大きく変わります。
- 対応時間帯:平日日中だけか、夜間・土日祝・年末年始も含むか。時間外は割増になることが多いです。
- 受電件数とその波:月の件数だけでなく、特定の時間や曜日に集中するかどうかも料金と品質に影響します。
- 業務の範囲:名前と用件を聞いて伝えるだけの取次ぎか、予約や注文の受付、よくある質問への回答、一次対応まで含むか。範囲が広いほど費用は上がります。
- 報告の方法:メール、チャット、管理画面など、受けた内容をどう伝えるか。社内システムへの直接登録を求めると追加費用がかかることがあります。
- 専門性:医療、法律、不動産、設備工事など、業界知識が必要な受付は準備に手間がかかります。
- 言語:外国語での対応が必要かどうか。観光地や外国人客の多い店舗では見落とせない条件です。
小さな会社の一日で考えてみる
架空のリフォーム会社を例に、どの条件が自社に当てはまるかを見てみましょう。社長と職人が四人、事務担当のパートが午前中だけ勤務している会社です。
- 8:30 社長と職人は現場へ。事務所には事務担当が一人。
- 9:10 既存のお客様から「キッチンの水漏れが止まらない」と電話。事務担当が受け、社長の携帯に連絡する。
- 12:00 事務担当が退勤。ここから先、事務所の電話は誰も取れない。
- 13:20 新規のお客様から浴室リフォームの見積もり依頼。社長は屋根の上で出られない。
- 15:45 営業電話が二件、既存のお客様から工事日の変更依頼が一件。
- 19:30 「排水口が詰まって水があふれそう」という相談。営業時間外で、留守番電話に切り替わる。
- 20:30 社長が帰宅後にまとめて折り返す。13:20のお客様は、すでに別の業者に依頼していた。
この会社の電話は、件数としては多くありません。問題は、午後と夜に電話が散らばり、誰も出られない時間が長いことです。用件も、新規の見積もり依頼、日程変更、営業電話、緊急の相談と性格がばらばらです。
こう整理すると、必要なのは席単価型の専任オペレーターではなく、午後から夜までの受付と、用件に応じた振り分けだと分かります。新規の依頼は内容を聞いて記録し、日程変更は予約表に反映し、営業電話は丁寧に断る。ただし水漏れのような緊急の相談は、すぐ社長の携帯に回すルールが必要です。職人の仕事と電話対応の両立については、職人・工事業向けのページでも具体的に紹介しています。
コールセンター外注の見積もり前に準備すること
見積もりを依頼する前に、次の手順で自社の電話を整理しておきましょう。条件がはっきりしていれば、業者ごとの比較が格段にしやすくなります。
- 一か月ほど着信を記録する:時間帯、用件、通話のおおよその長さ、出られたかどうかを簡単にメモします。
- 任せたい用件と任せたくない用件を分ける:予約、問い合わせ、伝言は外へ。クレームや見積もり金額の相談は自社で、という線引きをします。
- 必要な対応時間を決める:昼休みだけ、午後だけ、夜間と休日だけなど、本当に困っている時間帯に絞ります。
- 受けた後の流れを決める:誰に、どの手段で、どれくらいの速さで伝えてほしいかを書き出します。
- 緊急時のルールを決める:どんな用件なら即座に転送するか、転送先は誰かを明確にします。
- 同じ条件で複数社に見積もりを依頼する:条件がそろっていないと、金額を比べても意味がありません。
- 契約条件を確認する:最低利用期間、解約の申し出時期、料金改定の扱いを事前に確かめます。
見積もりで見落としやすい落とし穴
月額の数字だけを見て決めると、後から想定外の請求に驚くことがあります。特に次の点は、契約前に必ず確認してください。
- 基本料金に含まれる件数と、超えた分の単価
- 通話時間の計算単位と、短い電話や無言電話も一件として数えるかどうか
- 夜間・休日の割増の有無
- マニュアル変更や対応内容の追加にかかる費用
- 最低契約期間と途中解約の条件
もう一つの落とし穴は、安さだけで選ぶことです。決まった文言で名前と電話番号を聞くだけの対応になり、お客様が「結局、折り返しを待つしかない」と感じれば、外注した意味が薄れます。自社の名前でどう名乗るのか、よくある質問にどこまで答えられるのかを、可能であれば試験的に確かめてから決めましょう。
人が対応すべき電話と、仕組みに任せられる電話
すべての電話を外に任せるのが正解とは限りません。次のような電話は、自社の人間が直接対応したほうがよい場面です。
- 強い不満やクレームで、相手が感情的になっている電話
- 金額交渉や契約内容の変更など、判断と責任が伴う相談
- ガス漏れや大きな水漏れなど、安全に関わる緊急の連絡
- 長年の常連客や取引先からの、関係性が大事な電話
一方で、営業時間や場所の案内、予約の受付や変更、伝言、注文の受付といった定型的な用件は、外部の仕組みに任せやすい電話です。
ここで、人のオペレーターによるコールセンターとは別に、AIが電話に応答する受付サービスという選択肢もあります。複雑な一次対応や大量の受電を人の判断で処理したいなら、人のコールセンターが向いています。取りこぼしを防ぎ、定型的な用件を昼夜問わず受けたいなら、RinghumのようなAI電話受付が合う場合があります。どちらが優れているかではなく、自社の電話の中身に合うかどうかで選ぶのが大切です。
まとめ:まず自社の電話を一か月記録する
コールセンター外注の相場は、業者の価格表よりも、自社の電話の量と中身で決まります。いつ、どんな用件の電話が、どれくらいかかってくるのか。それが分かれば、月額固定型と従量課金型のどちらが合うか、夜間対応は必要か、人とAIのどちらに任せるべきかが自然に見えてきます。
今日からできる次の一歩は、着信のメモを始めることです。一か月分の記録がそろえば、見積もりを依頼するときの条件書になり、届いた見積もりを冷静に比べる物差しにもなります。
よくある質問
小さな会社でもコールセンターを外注できますか
できます。専任オペレーターを確保するような大がかりな契約でなくても、取次ぎや伝言だけを受ける電話代行や、件数に応じた料金の業者もあります。社員数よりも、電話に出られない時間帯がどれくらいあるかが判断の目安です。まずは困っている時間帯と用件を書き出し、それに見合う範囲だけを依頼すると無駄が出にくくなります。
夜間や休日だけ外注することはできますか
多くの業者で可能です。平日日中は自社で受け、時間外だけ外部に転送する使い方は一般的です。ただし夜間・休日は割増料金が設定されていることが多いので、見積もりでは時間帯ごとの単価を確認しましょう。夜間の緊急連絡をどう扱うか、誰に転送するかも事前に決めておくと安心です。
電話代行とコールセンター外注は何が違いますか
明確な線引きはありませんが、電話代行は主に取次ぎや伝言など比較的シンプルな受付を指し、コールセンター外注は問い合わせ対応や受注、一次対応などより広い業務を含むことが多いです。業務範囲が広がるほど準備と費用も増えるため、自社に必要な範囲を見極めてから相談先を選ぶのがおすすめです。
AI電話受付と人のコールセンターはどちらが安いですか
一概には言えません。料金体系も、任せられる業務の範囲も異なるからです。定型的な用件が多く、時間外の取りこぼしを防ぎたい場合はAI受付が合うことがあり、複雑な相談が多い場合は人のコールセンターが向いています。自社の着信記録をもとに、Ringhumの料金ページなども含め、同じ条件で比べてみてください。
Ringhumについて:Ringhumは、中小企業や店舗の電話に24時間応答するAI電話受付です。予約や注文の受付、伝言の記録、WhatsAppでの返信に対応し、緊急の用件は担当者へつなぐルールも設定できます。クレームや込み入った相談など、人が受けるべき電話まで置き換えるものではありません。会社での使い方は企業向けのページをご覧ください。