現場に出ている時間、接客中の時間、打ち合わせ中の時間にも電話は鳴ります。出られなかった一本が新規の問い合わせだったと後で気づいたことは、多くの店や会社で一度はあるはずです。そこで電話対応をコールセンターや電話代行に外注する案が出てきます。ただ、外注にはデメリットもあります。契約してから気づくと、乗り換えにも手間がかかります。
この記事では、コールセンターを外注するデメリットを、大企業ではなく中小企業や個人事業主の立場から整理します。主なデメリットは、自社の事情を知らない人が電話に出ること、対応できる範囲が台本に縛られること、費用が読みにくいこと、お客様とのやり取りが社内に残りにくいこと、個人情報を外に預けることの五つです。
どれも外注をやめるべき理由ではありません。契約前に確認しておけば、かなり抑えられます。後半では確認リストと、外注せず自分たちで受けるべき電話の見分け方も紹介します。
コールセンター外注のデメリットは主に5つ
1. 会社のことを知らない人が電話に出る
外注先のオペレーターは電話対応の専門家ですが、あなたの会社の専門家ではありません。料金の細かい条件、職人ごとの得意分野、常連のお客様の事情などは、渡されたマニュアルの範囲でしか分かりません。お客様に「それは担当者から折り返します」と答える場面が増えます。そのたびに、電話をかけた側は少し待たされます。
2. 台本の外に出られない
多くの外注サービスは、あらかじめ決めた応対の流れ(スクリプト)に沿って動きます。品質を揃えるための仕組みですが、想定外の質問には弱くなります。業種によっては、急ぎの修理依頼、当日の空き確認、予約の変更など、その場で判断が必要な電話がよく入ります。台本で受けられる範囲がどこまでかは、契約前に具体的に確かめる必要があります。
3. 費用の全体像が見えにくい
料金体系はサービスによって大きく違います。月額固定、受電件数による従量課金、時間帯による割増、初期設定費用、最低契約期間などが組み合わさっていることがよくあります。電話が多い月に想定より高くなったり、逆に電話が少ないのに固定費だけが残ったりします。見積もりは、月額の数字だけでなく、自社の電話の件数や時間帯に当てはめて比べるのが安全です。
4. お客様とのやり取りが社内に残らない
外注先から届くのは、たいてい要件をまとめたメモやメールです。お客様の声の調子や、ついでに話した要望などは、そこから抜け落ちがちです。電話を自分たちで受けていれば自然に身につく「最近こういう問い合わせが多い」という感覚も、育ちにくくなります。
5. 個人情報を外部に預ける
お客様の氏名、電話番号、住所、場合によっては体調や家庭の事情まで、外注先が聞き取ることになります。情報の保管場所、保存期間、アクセスできる人の範囲、委託先へのさらなる再委託の有無などは、事業者ごとに違います。業種によっては業界のルールや取引先との約束もあるので、自社の基準に合うかを確認しておきましょう。
ある一日で見る:小さなリフォーム会社が外注した場合
社長と職人二人で回している地域のリフォーム会社を想像してください。電話対応を外注して一か月目の、ある火曜日です。
- 8時40分 社長と職人が現場へ出発。会社の電話は外注先へ転送される設定です。
- 9時15分 「雨漏りがしていて困っている」という新規の電話。オペレーターは丁寧に氏名と住所を聞き、「担当者から折り返します」と案内します。
- 9時40分 要件メールが社長に届きます。しかし社長は屋根の上で、スマートフォンを見られません。
- 12時30分 昼休みにメールに気づいて折り返すと、お客様は「別の業者さんが今日来てくれることになりました」とのこと。
- 14時00分 先週見積もりを出したお客様から「金額の内訳を確認したい」という電話。オペレーターは見積もりの内容を知らないので、ここも折り返しになります。
- 17時30分 会社に戻った社長は、折り返しが三件たまっていることに気づきます。
電話そのものは一本も取りこぼしていません。外注としてはきちんと機能しています。それでも、急ぎの新規客は他社へ流れ、既存客には二度手間をかけました。この会社に足りなかったのは、電話に出る人ではありませんでした。緊急の電話をすぐ社長に知らせる仕組みと、よくある質問にその場で答えられる情報が欠けていたのです。外注のデメリットの多くは、こうした設計の段階で決まります。
外注のデメリットを抑えるための確認リスト
契約前、または今の契約を見直すときに、次の点を一つずつ確認してください。
- 一週間分の着信を書き出す 時間帯、用件、その場で答えられたかどうかをメモします。外注に任せたい電話が見えてきます。
- その場で答えてほしいことを決める 営業時間、対応エリア、予約の空き、よくある料金の考え方など、マニュアルに載せる内容を具体的にします。
- 緊急時の連絡ルールを決める どんな電話なら即時に電話やメッセージで知らせてもらうか、誰に連絡するかを決めておきます。
- 報告の形を確認する メールなのか、管理画面なのか、何分後に届くのか。要件だけでなく、お客様の温度感も残せるかどうかも確認します。
- 料金を自社の件数で試算する 繁忙期と閑散期の両方で計算し、最低契約期間と解約条件も確認します。
- 個人情報の扱いを書面で確認する 保管、保存期間、再委託の有無などを確認します。
- 試験期間を設ける 最初の数週間は、要件メモと実際の折り返し結果を照らし合わせ、マニュアルを直します。
外注せず、人が受けるべき電話
外注でもAIでも、任せない方がよい電話があります。
- クレームや謝罪が必要な電話 事情を知る責任者が直接話した方が、早く落ち着くことがほとんどです。
- 金額や契約条件の交渉 その場の判断で関係が変わる話は、決められる人が受けるべきです。
- 体調、安全、緊急性が高い相談 医療や介護、設備の故障などは、すぐ専門の担当者につなぐ流れが必要です。
- 長年の大口顧客や紹介元 声を聞いて話すこと自体が、関係を保つ価値になる場合があります。
外注する範囲は「全部」か「ゼロ」かで考えなくても構いません。一次受付と予約、よくある質問は外に任せ、上のような電話は自分たちにすぐ回す。この分け方が現実的です。
外注以外の選択肢:AI電話受付という考え方
人が出るコールセンターのほかに、AIが電話を受ける方法もあります。決めた情報をもとに、営業時間や予約の受付、伝言の聞き取りを昼夜を問わず行います。会社の情報を覚えさせておけば、先ほどの例の「見積もりはいつ届くか」「対応エリアはどこか」のような質問にはその場で答えられます。
一方で、複雑な交渉や感情のこもった相談は、まだ人の方が向いています。高齢のお客様が多く、機械の音声に抵抗がある業種もあるでしょう。選ぶときは、自社の電話の中身と照らし合わせることが大切です。飲食店なら予約の電話が中心になり(飲食店向けの活用例)、職人さんなら現場中の着信への対応が中心になります(職人・工務店向けの活用例)。向いている使い方は業種でかなり変わります。
まとめ:まず一週間の電話を書き出してみる
コールセンター外注のデメリットは、知識の不足、台本の限界、費用の読みにくさ、情報の分断、個人情報の扱いの五つに整理できます。どれも、どの電話を誰に任せるかを先に決めておけば小さくできます。
最初の一歩としては、今週一週間の着信を紙かスプレッドシートに書き出すことをおすすめします。外に任せられる電話、自分で受けるべき電話、その場で答えられれば済む電話が分かれば、外注、AI、自社対応のどれが合うかは自然と見えてきます。
よくある質問
小さな会社でもコールセンターを外注する意味はありますか?
あります。とくに、少人数で現場や接客に出ていて電話に出られない時間が長い会社では効果が出やすいです。ただし、すべてを任せると折り返しが増えるだけになりがちです。予約受付や営業時間の案内など、その場で完結する電話から任せ、緊急の電話はすぐ自分に知らせてもらう形にすると失敗しにくくなります。
外注と自社でスタッフを雇うのでは、どちらが安いですか?
電話の件数、時間帯、地域の人件費、外注先の料金体系によって変わるため、一概には言えません。電話が少ない会社では外注の固定費が割高に感じられることもあり、件数が多い会社では人を雇う方が合う場合もあります。自社の一週間分の着信を元に、両方を同じ条件で試算して比べるのが確実です。
外注先の応対品質はどうやって確かめればいいですか?
契約前に、自社でよくある問い合わせを使って応対の流れを確認させてもらうのが一つの方法です。契約後の数週間は、届いた要件メモとお客様に折り返したときの反応を照らし合わせてください。聞き漏れや誤解が多い項目があれば、マニュアルを修正して改善を依頼します。
AI電話受付はコールセンター外注の代わりになりますか?
予約、よくある質問への回答、伝言の受付が中心であれば、代わりになることが多いです。夜間や休日も同じように受けられるのも利点です。一方で、クレーム対応や価格交渉、細かな事情の聞き取りが多い業種では、人による対応を残した方が安心です。両方を組み合わせて使う会社もあります。
Ringhumについて Ringhumは、中小企業や個人事業主のためのAI電話受付です。24時間電話に出て、予約の受付、注文や伝言の聞き取り、よくある質問への回答を行い、WhatsAppでのやり取りにも対応します。急ぎの用件はすぐお知らせし、人が受けるべき電話はあなたに任せる、という使い方を想定しています。詳しくはRinghumのトップページと料金ページをご覧ください。