朝から現場に出て、昼は接客、夕方は仕込みや事務作業。電話が鳴るたびに手を止めて出るか、あきらめるか。夜や休日にかかってきた電話は、翌朝の着信履歴に番号だけが残っています。折り返してもつながらないか、「もう別のところに頼みました」と言われる。小さな事業者にとって、こうした出られなかった一本は日常の一部になりがちです。
24時間電話受付サービスは、営業時間外や手が離せない時間の電話を代わりに受けて、用件を記録したり、予約を入れたり、急ぎの連絡を回したりする仕組みです。人のオペレーターが対応する電話代行と、AIが応答するタイプがあります。どちらが合うかは、業種や、かかってくる電話の中身で変わります。
この記事では、サービスの種類と違い、導入前に整理しておくこと、選ぶときのチェックポイント、そして人が電話を取るべき場面までを、実務の目線でまとめます。
24時間電話受付サービスが役に立つのはどんなときか
電話の受付を24時間にする意味があるかどうかは、お客様がいつ、どんな理由で電話してくるかで決まります。次のような状況に当てはまるなら、検討する価値があります。
- 夜間や早朝に急ぎの依頼が来る:水漏れ、鍵の紛失、設備の故障など。困った瞬間に電話するため、時間を選びません。
- 予約の電話が営業時間外に集中する:飲食店、美容室、整体院などは、お客様が仕事を終えた夜や休日に予約を考えることがよくあります。
- 一人、または少人数で回している:施術中、運転中、調理中は物理的に電話に出られません。
- 遠方や海外からの問い合わせがある:宿泊施設などでは、時差のあるお客様が日本の深夜に電話をかけてくることもあります。
出られなかった電話のコストは見えにくい
電話を取り逃しても、帳簿には何も残りません。だからこそ損失に気づきにくいのです。急ぎの用件を抱えたお客様は、留守番電話にメッセージを残さずに切り、次の候補に電話をかけることがあります。予約の電話なら、その夜のうちに別の店が埋まってしまうこともあります。折り返しの手間も積み重なると、本来の仕事の時間を少しずつ削っていきます。
主な3つのタイプと、それぞれの向き不向き
留守番電話・携帯への転送
最も手軽な方法です。ただし、留守番電話は用件を残してもらえなければ意味がありません。転送は結局自分が出ることになるため、夜中や作業中の負担は変わりません。電話の数が少なく、急ぎの用件もほとんどない事業者なら、これで足りる場合もあります。
人による電話代行(秘書代行)
オペレーターが会社名で電話を受け、用件をメールやチャットで知らせてくれます。人ならではの柔軟な受け答えができるのが強みです。一方で、対応時間がサービスごとに決まっていて、夜間や休日は対象外だったり、別料金になったりすることがあります。料金体系も月額制、件数ごとの課金などさまざまで、地域やサービスによって差があります。予約システムへの直接登録など、踏み込んだ対応ができるかどうかも確認が必要です。
AI電話受付
AIが音声で電話に応答し、決められた範囲で質問に答えたり、予約を入れたり、伝言を取ったりします。時間帯に関係なく同じ品質で応答でき、同時に複数の電話がかかってきても話し中になりにくいのが特徴です。ただし、込み入った相談、感情的になっているお客様、判断が必要なクレームは苦手です。AIで受ける範囲と人に回す範囲を、最初に決めておくことが前提になります。
ある一日の例:一人で営む水道修理店の場合
地方都市で一人で水回りの修理を請け負っている事業者を想像してみてください。
- 7:30 現場へ向かう車の中で電話が鳴る。運転中なので出られない。受付サービスが応答し、「来週の蛇口交換の見積もり希望」という用件と連絡先を記録。
- 10:15 床下で配管作業中。二件続けて着信。一件は部品の営業電話で、伝言だけ残して終了。もう一件は既存のお客様からの日程変更で、空いている枠に振り替えて確定。
- 13:00 昼休みにスマートフォンで受付の記録を確認。見積もり希望のお客様に折り返し、訪問日を決める。
- 19:40 夕食中に「トイレの水が止まらない」という電話。急ぎの案件として、受付が本人の携帯へすぐ転送。止水栓の場所を電話で案内し、翌朝一番の訪問を約束。
- 23:10 「明日の午後に来てもらえるか」という問い合わせ。急ぎではないので、受付が用件と希望時間を記録し、翌朝に確認の連絡をすると伝えて終了。
この一日で本人が直接出た電話は、緊急の一本だけです。それ以外は記録が残り、自分の都合のよい時間にまとめて処理できています。職人や個人事業主の場合のより具体的な使い方は、職人・工事業向けのページでも紹介しています。
24時間電話受付サービスを選ぶときのチェックリスト
契約の前に、次の項目を一つずつ確認してください。
- 本当に24時間・年中無休か:深夜、早朝、年末年始、お盆の扱いを確認する。
- 何ができるか:伝言だけなのか、予約の登録、よくある質問への回答、注文の受付までできるのか。
- 急ぎの電話をどう扱うか:特定の言葉や条件で、すぐ自分の携帯に転送できるか。
- 記録の届き方:メール、チャット、アプリなど、自分がすぐ見られる形で届くか。WhatsAppなどのメッセージで問い合わせてくるお客様にも対応できるか。
- 今の電話番号を使えるか:番号を変えずに転送で導入できるか。
- 案内の内容を自分で変えられるか:営業時間や臨時休業、季節のメニューを手軽に更新できるか。
- 料金の仕組みが分かりやすいか:月額、通話件数、通話時間など、何に対して費用がかかるのか。電話が増えた月にどうなるかも確認する。
- 個人情報の扱い:通話の録音や記録がどこに、どれくらいの期間保存されるか。
- 試せるか:自分で電話をかけて、お客様と同じ体験を確かめられるか。
導入でよくある失敗と、その避け方
自動音声の案内が長すぎる
「〇〇の方は1を」といった選択肢が続くと、それだけで切られてしまいます。最初のひと言で用件を聞き、すぐ本題に入れる設計にしましょう。
受けたあとの連絡が遅い
受付をしても、折り返しが翌々日では意味が薄れます。「翌営業日の午前中までに連絡する」など、自分で守れるルールを決めて、受付の案内でもその通りに伝えます。
何でも機械に任せようとする
全部の電話を自動で完結させようとすると、無理な受け答えでお客様を困らせることになります。任せるのは予約、営業時間や場所の案内、伝言など、答えが決まっているものからにしましょう。
案内内容を放置する
臨時休業や価格変更を反映し忘れると、受付が古い情報を話し続けます。変更があったらすぐ直す習慣をつけましょう。
人が電話を取るべき場面
どんなに便利な受付でも、人が対応したほうがよい電話があります。
- 命や安全に関わる可能性がある連絡:ガスのにおい、漏電、体調の急変など。受付はすぐ担当者につなぐか、しかるべき緊急連絡先へ案内する設定にします。
- 強い不満やクレーム:まず人が話を聞くことが、関係を立て直す第一歩です。
- 金額の大きい相談や、条件の交渉:見積もりの細かな判断、法人の大口注文など。
- 事情が複雑な相談:前例がない依頼、家庭の事情が絡む話など。
- お客様が「人と話したい」と言ったとき:無理に引き留めず、折り返しの約束をするか担当者へつなぎます。
受付の役割は、こうした電話を見分けて素早く人に渡すことでもあります。全部を受け止める仕組みではなく、人が大事な電話に集中するための仕組みだと考えると、設計の迷いが減ります。
まず何から始めるか
いきなり契約するより、次の順番で進めると失敗が少なくなります。
- 一週間、電話の記録をつける:かかってきた時間帯、用件、出られたかどうかをメモする。
- 用件を三つに分ける:自動で完結できるもの、伝言でよいもの、人がすぐ出るべきもの。
- 営業時間外の対応方針を決める:深夜の急ぎは転送するのか、翌朝対応とするのか。
- チェックリストでサービスを比べる:人の電話代行とAI受付、それぞれ自分の用件に合うか確認する。
- 自分で電話をかけて試す:お客様の立場で、話しやすさと記録の届き方を確かめる。
この準備をしておけば、どのサービスを選んでも、最初から自分の店に合った受付にできます。
よくある質問
24時間電話受付サービスは小さな個人店でも使えますか?
使えます。むしろ人手の少ない店ほど、営業時間外や作業中の電話を任せる効果を感じやすいでしょう。大切なのは規模より、電話の内容です。予約や問い合わせのように答えが決まった電話が多いなら導入しやすく、毎回細かな相談になる電話が中心なら、伝言と折り返しを軸にした使い方が向いています。
人の電話代行とAI受付はどう使い分ければいいですか?
込み入った相談や、丁寧な言葉選びが求められる電話が多いなら、人の対応が安心です。予約、営業時間の案内、伝言など決まった用件が多く、夜間も途切れず受けたいならAI受付が向いています。両方を組み合わせ、決まった用件はAI、判断が必要な電話は人に回す形もよく選ばれます。
今使っている電話番号はそのままで大丈夫ですか?
多くのサービスは、今の番号から転送する形で導入できます。お客様に番号変更を知らせる必要がないため、名刺や看板もそのままです。ただし、転送の設定方法や、転送にかかる通話料の扱いは、契約している電話会社やサービスによって異なります。申し込む前に確認しておきましょう。
夜中の電話がすべて自分の携帯に来るようになりませんか?
設定次第です。急ぎと判断した電話だけを転送し、それ以外は記録を残して翌朝確認する、という形にできるサービスを選べば、夜中に何度も起こされることはありません。何を急ぎとするかは、自分の業種に合わせて事前に決めておくことが大切です。
Ringhumでできること
RinghumはAIの電話受付として、24時間電話に応答し、予約の登録、注文や問い合わせの受付、伝言の記録、WhatsAppでの返信を行います。急ぎの電話や、人と話したいというお客様は、あなたや担当者へつなぐように設定できます。複雑な相談やクレームまで機械で完結させるものではありません。人が出るべき電話に集中するための受付です。料金は料金ページで、設定の手順はヘルプセンターで確認できます。