仕込みの最中、ランチのピーク、お客様の対応中。そういう時に限って電話が鳴ります。出られなかった着信履歴を夜に見返して、「あれは予約だったかもしれない」と思う。そんな日が続くと、AI電話を検討し始める方は多いはずです。ところが、AI電話の料金を調べてみると、月額制のもの、通話時間で決まるもの、件数で決まるものと書き方がまちまちで、どれが自分の店や会社にとって安いのかが分かりにくいのが実情です。
先に結論をお伝えすると、AI電話の費用は「毎月必ずかかる固定の部分」「使った分だけかかる部分」「電話番号や連携などの付帯部分」の三つに分けて考えると、比べやすくなります。そして本当に比べるべきなのは料金表の数字そのものではなく、「自分のところの電話の量と中身に当てはめたら、月にいくらになるか」です。
この記事では、料金の仕組み、比べ方、見積もり前に手元で確認しておくこと、そしてAIに任せずに人が出たほうがいい電話まで、順番に整理します。
AI電話の料金を構成する主な項目
サービスによって呼び方は違いますが、AI電話の料金はおおむね次の項目の組み合わせです。すべてが必ずあるわけではないので、見積もりや料金ページでは「どれが含まれていて、どれが別料金か」を確認してください。
初期費用・設定費用
導入時に一度だけかかる費用です。応答内容の設計、店舗情報やメニューの登録、予約の受け方の設定などが含まれることがあります。無料のサービスもあれば、設定を代行してもらう分だけ費用がかかるサービスもあります。自分で設定できるか、手伝ってもらう必要があるかで実際の負担が変わります。
月額の基本料金
毎月固定でかかる部分です。一定の通話分数や件数が含まれているプランが多く、その範囲内なら追加費用はかかりません。プランの段階によって、使える機能や同時に受けられる通話数が変わることもあります。
通話量に応じた従量部分
含まれている分を超えた場合の料金です。「1分あたり」「1通話あたり」など単位がサービスごとに異なります。ここが分かりにくさの最大の原因なので、後で説明するように、自分の通話の量と長さを把握しておくことが大切です。
電話番号・転送にかかる費用
今の店の番号をそのまま使い、つながらない時だけAIに転送する方法もあれば、新しい番号を取得する方法もあります。転送の場合は、契約している通信会社側で転送の通話料が発生することがあります。これはAI電話の料金表には載っていないことが多いので、見落としやすい費用です。
オプション・連携
予約台帳やカレンダーとの連携、多言語での応対、通話内容の要約をメールやメッセージアプリで受け取る機能などです。基本料金に含まれる場合と、追加になる場合があります。
「安い・高い」を正しく判断する比べ方
料金表を横に並べて最安値を選ぶと、後から「思ったより高くついた」となりがちです。比べる時は、次の三つの物差しを持っておくと判断がぶれません。
1. 自分の通話量に当てはめた月額で比べる。 基本料金が安くても、自分の店の通話が多ければ従量部分がかさみます。逆に、電話が少ない事業なら、充実したプランは使い切れません。
2. 今かかっている費用と比べる。 電話番のために人を置いている時間、電話代行サービスの費用、そして出られなかった電話で逃した予約や注文。最後の取りこぼしは数字にしにくいのですが、実は一番大きいこともあります。
3. 料金に含まれる「対応の範囲」で比べる。 伝言を取るだけなのか、予約を確定できるのか、営業時間や駐車場の質問に答えられるのか。同じ金額でも、できることが違えば価値はまったく違います。
例:小さな居酒屋の一日に当てはめてみる
駅前で、店主夫婦とアルバイト数名で営む居酒屋を想像してみてください。
- 11:00 店主は仕込み中。予約の電話が続けて鳴るが、包丁を置けず一本は取り逃す。
- 12:30 ランチ営業のピーク。持ち帰りができるかという問い合わせ。誰も出られない。
- 15:00 休憩時間。酒屋からの納品確認の電話に店主が出る。
- 18:30 夜の営業開始。週末の団体予約の相談が入るが、ホールが忙しく折り返しになる。
- 20:00 満席の時間帯に「今から2人入れますか」という電話。
- 23:30 閉店後に翌日の予約電話。営業時間外で誰も出ない。
この店で考えると、AIに任せやすいのは、仕込み中や営業中の通常の予約、持ち帰りの可否、空席の問い合わせ、閉店後の予約です。一方、酒屋からの電話や団体予約の細かい相談は、店主が自分で話したほうがいい電話です。
つまり、すべての電話をAIに流す必要はありません。「忙しい時間帯と営業時間外だけAIへ転送」と決めれば、AIが受ける通話量は全体の一部になり、料金も見積もりやすくなります。飲食店ならではの使い方は飲食店向けのページでも紹介しています。
見積もり前に確認しておくこと(チェックリスト)
問い合わせる前に、次の項目を手元でまとめておくと、見積もりの精度が上がり、比較もしやすくなります。
- 着信の量を数える。 電話機の着信履歴や通信会社の明細を、できれば繁忙期と閑散期を含めて見返し、1日・1か月あたりの着信件数をつかむ。
- 一本あたりの長さを把握する。 予約や問い合わせが大体何分で終わるか。分単位の料金ならここが効きます。
- 電話の中身を分類する。 予約、注文、営業時間などの質問、業者、営業電話、クレーム。AIに任せたい種類に印をつける。
- AIに任せる時間帯を決める。 終日か、繁忙時間だけか、営業時間外だけか。
- 今の番号をどうするか決める。 そのまま使って転送するのか、新しい番号にするのか。通信会社の転送料金も確認する。
- 必要な機能を書き出す。 予約の確定、伝言の通知方法、外国語対応など。
- 契約条件を確認する。 最低利用期間、解約の手続き、プラン変更のしやすさ、超過時の扱い。
AI電話の料金で失敗しやすいポイント
よくあるつまずきは、だいたい次のどれかです。
- 超過料金を見ていない。 繁忙期だけ通話が増え、その月だけ想定外の請求になる。
- 転送の通話料を忘れている。 AI電話側ではなく、通信会社側でかかる費用です。
- 機能が足りず、結局人が折り返している。 伝言を取るだけで予約は確定できないなら、手間は思ったほど減りません。
- 最低利用期間を確認していない。 試してみて合わなかった時に、すぐやめられない場合があります。
- 大きすぎるプランを選ぶ。 最初は小さく始めて、実際の通話量を見てから上げるほうが無駄がありません。
人が電話に出たほうがいい場面
AI電話は、定型的な予約や問い合わせ、時間外の受付には向いています。ただし、すべての電話に向くわけではありません。次のような電話は、人が受けるか、AIが受けてすぐ人につなぐ設定にしておくのが安心です。
- 苦情や、怒っている・困っているお客様からの電話
- 金額の大きい相談や、条件の交渉が必要な問い合わせ
- 体調、事故、設備の故障など、急ぎの判断が要る連絡
- 長年の常連客や取引先など、関係そのものが大切な相手
- 込み入った事情を聞き取る必要がある相談
こうした電話の割合が多い事業では、AIは「時間外と繁忙時の一次受付」に絞って使うのが現実的です。その分、料金も抑えられます。
まとめ:まずは自分の電話を2週間記録する
AI電話の料金は、料金表を眺めるだけでは判断できません。次の一歩としておすすめなのは、2週間ほど着信履歴を見返し、「件数」「長さ」「中身」「時間帯」をメモすることです。そのうえで、AIに任せる時間帯と電話の種類を決め、固定費・従量部分・付帯費用の三つに分けて見積もりを比べてください。
これだけで、「安そうに見えたけれど自分には高い」「高そうに見えたけれど取りこぼしを考えれば十分見合う」といった判断が、自信を持ってできるようになります。
よくある質問
AI電話の料金は、電話代行サービスと比べて安いですか?
一概には言えません。通話量、対応してほしい内容、時間帯によって逆転することもあります。AI電話は深夜や同時に何本もかかってくる時間帯に強く、電話代行は人ならではの柔軟な受け答えに強みがあります。自分の通話量に当てはめた月額と、対応できる範囲の両方で比べるのが確実です。
今使っている店の電話番号のまま使えますか?
多くの場合、今の番号に通信会社の転送サービスを設定し、出られない時だけAIへつなぐ形で使えます。ただし、転送の設定方法や転送時の通話料は、契約している通信会社やプランによって異なります。導入前に通信会社側の条件も確認しておくと安心です。
電話が少ない小さな事業でも元は取れますか?
電話の件数が少なくても、一本の予約や依頼の価値が大きい業種なら十分に見合うことがあります。一人で現場に出ている職人さんや個人事業主のように、作業中に電話に出られない方は特に検討の価値があります。まずは小さなプランで試すのがおすすめです。
途中でプランを変えたり、やめたりできますか?
サービスによって最低利用期間や変更のタイミングが異なります。契約前に、プランの上げ下げ、解約の手続き、通話が上限を超えた月の扱いを必ず確認してください。最初は控えめなプランで始め、実際の通話量を見てから調整するほうが無駄がありません。
Ringhumは、24時間電話に応答し、予約や注文の受付、伝言の記録、WhatsAppでのやり取りを代わりに行うAI電話受付です。料金の内訳は料金ページに載せていますので、上のチェックリストでまとめた通話量と照らし合わせてみてください。設定や転送の方法はヘルプセンターで確認できます。苦情や込み入った相談のように人が出るべき電話は、無理にAIで受けず、担当者につなぐ使い方をおすすめしています。