ランチの片付けとディナーの仕込みが重なる夕方や、満席で厨房もホールも手一杯の金曜の夜に限って、店の電話が鳴ります。出たのは入ったばかりのアルバイトスタッフで、人数は聞いたのに時間を聞き忘れた。名前は控えたのに電話番号がない。飲食店ではよくある光景です。
予約電話の対応は、話し方のうまさよりも「毎回同じ順番で、同じことを聞く」ことでほぼ決まります。この記事では、飲食店の予約電話でそのまま使える例文を、基本の流れから満席時の断り方、変更・キャンセル、アレルギー確認まで場面別にまとめました。店のマニュアルや電話横の貼り紙にそのまま使えます。
お店の業態(居酒屋、カフェ、コース中心のレストランなど)によって確認すべき項目は少しずつ違います。例文は自店に合わせて言い回しを調整してください。
飲食店の予約電話、基本の例文と流れ
まずは、いちばん多い「新規の予約を受ける」場面です。次の順番で進めると、聞き漏れがぐっと減ります。
- 名乗る
- 希望の日時と人数を聞く
- 空き状況を確認して伝える
- 名前と連絡先を聞く
- 必要に応じて席の希望やコース、アレルギーを聞く
- 内容を復唱する
- お礼を伝えて切る
基本の例文
電話に出る 「お電話ありがとうございます。〇〇(店名)でございます。」
用件を受ける 「ご予約でございますね。ありがとうございます。ご希望の日にちとお時間、人数をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
空きを確認する 「〇月〇日〇曜日、19時から4名様ですね。お調べいたしますので、少々お待ちくださいませ。」 (保留は長くても30秒程度を目安にし、長引きそうなら一度戻って「もう少々お時間をいただけますか」と伝えます)
名前と連絡先を聞く 「お席ご用意できます。ご予約のお名前と、当日つながるお電話番号をお伺いできますか。」
追加の確認 「お席のご希望や、食材のアレルギーなどはございますか。」
復唱する 「確認いたします。〇月〇日〇曜日、19時から4名様、〇〇様、お電話番号は〇〇〇〇でお間違いないでしょうか。」
締める 「ご予約ありがとうございます。当日お待ちしております。〇〇(店名)の△△(自分の名前)が承りました。」
最後に自分の名前を伝えておくと、後で「誰が受けたか」が分かり、お客様にも安心感を与えます。
場面別の例文:満席・変更・キャンセル・大人数
満席で断るとき
断るときこそ、次につながる一言が大切です。
「申し訳ございません。あいにくその時間は満席となっております。20時30分以降でしたらご案内できますが、いかがでしょうか。」
代わりの時間もない場合: 「大変申し訳ございません。その日は終日満席となっております。またの機会にぜひお待ちしております。」
キャンセル待ちを受け付けている店なら、「キャンセルが出ましたらご連絡いたしましょうか」と添えると喜ばれます。
日時・人数の変更
「ご変更でございますね。ご予約のお名前とお電話番号をお伺いできますか。……〇月〇日19時、4名様の〇〇様ですね。どのようにご変更なさいますか。」
人数が増える場合は、席の都合で対応できないこともあります。その場で即答せず「お席を確認いたします」と一度預かりましょう。
キャンセル
「かしこまりました。〇月〇日19時、4名様の〇〇様のご予約をキャンセルいたします。ご連絡いただきありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
キャンセル料の規定がある店は、予約時に伝えておくのが基本です。キャンセルの電話口で初めて伝えるとトラブルになりやすいので注意してください。
宴会・大人数・コース予約
「ご宴会のご予約ですね。ありがとうございます。人数とご希望のコース、ご予算の目安、飲み放題の有無をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
大人数の予約は、決めることが多く金額も大きくなります。可能なら店長や責任者に代わるか、「担当の者から折り返しご連絡いたします」と伝えて連絡先を控えましょう。
アレルギー・食事制限の確認
「アレルギーの食材がございましたら、事前にお知らせいただけますでしょうか。……えびとかにでございますね。厨房に確認のうえ、対応できる内容を改めてご連絡いたします。」
アレルギーは命に関わることがあります。電話を受けた人がその場で「大丈夫です」と言い切らないことが鉄則です。
ある居酒屋の一日:予約電話はいつ鳴るのか
たとえば、席数がそれほど多くない駅前の居酒屋を想像してみてください。
- 11時30分 ランチ営業の準備中に電話。店長が手を止めて対応し、夜の6名予約を受ける。仕込みが少し遅れる。
- 12時15分 ランチのピーク。2回鳴るが、誰も出られない。1件は折り返したもののつながらず、そのまま。
- 15時00分 休憩中。留守番電話にメッセージが1件。「今日の夜、2人で空いてますか」とだけ残っていて、名前も番号も分からない。
- 18時40分 満席の店内で電話。アルバイトスタッフが出て「明日の8人」を受けるが、時間を聞き忘れる。後で気づき、着信履歴から折り返す。
- 22時30分 ラストオーダー後。週末の宴会について問い合わせの電話が来るが、片付けで手が回らず、翌日の折り返しに。
この店に必要なのは、話し方の研修よりも「誰が出ても同じ項目を聞ける例文と手順」と「出られない時間帯をどうするか」の2つです。前者は例文とメモ用紙で解決できます。後者は、営業時間外の案内を工夫したり、電話の自動応答を取り入れたりと、店ごとの判断になります。
予約電話で避けたいNG対応
- 「はい」だけで出る:店名を名乗らないと、お客様は間違い電話かと不安になります。
- 復唱しない:日にちや人数の聞き違いは、当日のトラブルに直結します。特に「〇日」と曜日はセットで確認しましょう。
- 長い保留:無言の時間が長いと、お客様は切ってしまいます。
- 忙しさが声に出る:ピーク中でも、電話口のお客様にとってはその一本がすべてです。「お待たせいたしました」の一言で印象は変わります。
- メモを後で書く:頭で覚えて後で書こうとすると、必ず抜けます。予約台帳か専用メモにその場で書きましょう。
- できない約束をする:アレルギー対応、持ち込み、席の指定など、判断が必要なことは即答しないこと。
聞き漏れを防ぐ予約電話チェックリスト
電話の横に貼っておくと便利です。
- 日にち(曜日も一緒に)
- 時間
- 人数(大人・子ども、お子様椅子の要否)
- お名前(フルネーム、読み方)
- 当日つながる電話番号
- 席の希望(個室、カウンター、禁煙など)
- コース・飲み放題の有無
- アレルギー・苦手な食材
- 利用目的(誕生日、接待など。お店によって)
- 復唱して確認したか
- 受けた人の名前
人が対応すべき電話、仕組みに任せてよい電話
予約電話のすべてを同じように扱う必要はありません。
仕組みや手順に任せやすい電話
- 日時・人数が決まっている通常の予約
- 営業時間、定休日、場所、駐車場の有無などの問い合わせ
- 予約の確認や簡単な変更・キャンセル
人が対応したほうがよい電話
- 重いアレルギーや宗教上の食事制限など、厨房の判断が必要なもの
- 宴会や貸切など、金額や条件の交渉が伴うもの
- 料理やサービスへの苦情、当日の忘れ物など、気持ちへの配慮が必要なもの
- 常連のお客様からの特別なお願い
手順で受けられる電話を確実に受け、判断が必要な電話は「責任者から折り返します」と連絡先を控える。この線引きをスタッフ全員で共有しておくだけで、現場の迷いは減ります。
まとめ:今日からできる次の一歩
まずは、この記事の例文とチェックリストを自店の言葉に直し、A4一枚にまとめて電話の横に貼ってください。新人スタッフには、実際に一度ロールプレイをしてもらうと効果的です。そのうえで、ここ一週間で「出られなかった時間帯」を振り返ってみましょう。ランチのピーク、休憩中、閉店後など、取りこぼしが集中する時間が見えてきます。その時間をどう埋めるかが、次の課題です。
よくある質問
予約電話で最低限聞くべき項目は何ですか?
日にち(曜日も)、時間、人数、お名前、当日つながる電話番号の5つが最低限です。これに加えて、席の希望、コースの有無、アレルギーを確認しておくと当日の準備がスムーズになります。最後に必ず復唱し、お客様と内容が一致しているかを確かめましょう。
満席のとき、感じよく断るコツはありますか?
まずお詫びを伝え、可能なら代わりの時間や日にちを提案します。「20時30分以降でしたらご案内できます」のように具体的に示すと、お客様も選びやすくなります。代案がない場合も「またの機会にぜひ」と添えることで、次回の来店につながりやすくなります。
アルバイトスタッフにも電話対応を任せて大丈夫ですか?
通常の予約や問い合わせなら、例文とチェックリストがあれば任せられます。ただし、アレルギー対応の可否、宴会の条件、苦情などは判断が必要なため、「責任者から折り返します」と伝えて連絡先を控えるルールにしておくと安心です。事前にロールプレイをしておくと、本番で慌てにくくなります。
営業時間外の予約電話はどうすればよいですか?
留守番電話に営業時間と折り返しの方針を案内しておくのが基本です。ただし、メッセージを残さずに切るお客様も少なくありません。ネット予約の案内を添える、電話の自動応答サービスを使うなど、店の規模や客層に合わせて取りこぼしを減らす方法を検討してみてください。
Ringhumについて:Ringhumは、お店に代わって24時間電話に出るAI電話受付です。日時・人数・お名前・連絡先といった予約の基本項目を毎回同じ手順で聞き取り、内容をお店に届けます。WhatsAppでの問い合わせにも対応できます。一方で、重いアレルギーの判断や宴会の条件交渉、苦情対応は、お店の方が直接受けるべき電話です。飲食店での使い方は飲食店向けページで、費用は料金ページでご確認いただけます。