ランチの片付けが終わって仕込みに入る午後、ディナーのピークで厨房もホールも手が離せない夜、片付けを終えてシャッターを下ろしたあと。店の電話は、こちらの都合に関係なく鳴ります。そしてその多くが「今度の土曜、4人で入れますか」という予約の電話です。
レストランの電話予約を営業時間外にどう受けるかは、多くの飲食店が抱える悩みです。全部に出るのは現実的ではありません。とはいえ鳴りっぱなしの電話は、そのまま他の店へ流れていく予約になりかねません。この記事では、営業時間外や手が離せない時間帯の電話予約を取りこぼさないための考え方と具体的な方法、そして機械に任せず人が出るべき電話の見極め方を整理します。
結論を先に書くと、大切なのは「出られない時間にも、お客様が次に何をすればいいか分かる状態をつくること」です。方法は店の規模や客層によって変わりますが、その考え方は共通しています。
営業時間外の電話予約で実際に起きていること
予約の電話がかかってくるのは、お客様が予定を立てるタイミングです。仕事の休憩中、帰りの電車を降りたあと、家族と週末の相談をしている夜。つまり、店の営業時間とは関係なくかかってきます。
特に電話が集中しやすいのは次のような時間です。
- ランチとディナーの間の中休み:スタッフが休憩や仕込みに入っていて、電話の前に誰もいない
- ディナーのピーク:店は開いていても、実質的には出られない
- 閉店後から翌日の開店前まで:会社帰りや夜にゆっくり店を探すお客様からの電話
- 定休日や年末年始・お盆などの長期休業:宴会や会食の相談が入りやすい時期と重なることもある
電話に出られないと、お客様の多くは折り返しを待たずに別の店を探します。留守番電話に伝言を残す人もいますが、残さずに切ってしまう人も少なくありません。着信履歴に番号は残っても、誰が何の用件でかけてきたのかは分からないままです。
取りこぼしが店にもたらすもの
電話に出られなかったことによる損失は、目に見えにくいのが厄介なところです。
まず、その日の予約そのものを失います。数名のテーブル予約ならまだしも、歓送迎会や法事後の会食、記念日のコースといった単価の高い予約ほど、お客様は「確実に話ができる店」を選びがちです。
次に、印象の問題があります。「何度かけても出ない店」という印象は、次に店を選ぶときにも影響します。常連さんであれば事情を察してくれるかもしれませんが、初めてのお客様にとっては、電話に出ないことがその店のすべてです。
そして見落としがちなのが、スタッフへの負担です。営業中に鳴り続ける電話に気を取られたり、閉店後に着信履歴を見て一件ずつ折り返したりする時間は、本来は休息や翌日の準備に充てたい時間です。折り返しても相手が出ず、結局つながらないこともあります。
営業時間外の電話予約に対応する方法
営業時間外の受付方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれ向き不向きがあります。
留守番電話で伝言を受ける
最も手軽な方法です。ただし、伝言を残さずに切るお客様が多いことと、折り返しの手間が店側に残ることが弱点です。使う場合は、営業時間や折り返しのタイミングをアナウンスにはっきり入れておくと、お客様の不安を減らせます。
ネット予約に誘導する
予約ページがあるなら、アナウンスで案内するのも有効です。ただ、電話をかけてくるお客様の中には、ネット予約が苦手な方や「人数がまだ決まっていない」「子ども用の椅子はあるか」など、質問しながら予約したい方も多くいます。ネット予約だけでは受け止めきれない層がいることは意識しておきましょう。
携帯電話への転送
オーナーや店長の携帯に転送する方法です。確実ではありますが、休みの日も気が休まらず、長く続けるのは難しいのが実情です。
AIの電話受付に任せる
AIの電話受付は、営業時間外や手が離せない時間帯に代わりに電話に出て、日時・人数・名前・連絡先を聞き取り、空き状況に応じて予約を受けたり、伝言として店に残したりする仕組みです。営業時間や駐車場の有無、アクセスなどのよくある質問にも答えられます。たとえば Ringhumの飲食店向けの使い方 では、電話予約の受付やテイクアウトの注文、WhatsAppでのやり取りまで任せられます。
一方で、複雑な相談や判断が必要な話には向きません。この点はあとで詳しく触れます。
ある小さなビストロの一日
具体的にイメージするために、カウンターとテーブル数卓の小さなビストロを例にとってみます。ランチは11時半から14時、ディナーは17時半から22時、定休日は月曜です。
14時40分:ランチの片付け中に電話が鳴ります。店主は仕込みに入っていて出られません。AI受付が代わりに出て、「金曜19時、3名」という予約を聞き取り、空きを確認して受け付けます。お客様の携帯には確認のメッセージが届きます。
15時10分:「ベビーカーで入れますか」という問い合わせ。あらかじめ登録しておいた店の情報をもとに、入口に段差があること、ベビーカーは店内の一角に置けることを案内します。
19時50分:ディナーのピーク。「来月、会社の送別会で15名くらい、貸切はできますか」という電話が入ります。これは店主が直接話すべき内容なので、AI受付は名前・連絡先・希望日・人数・予算感だけを聞き取り、「担当者から明日折り返します」と伝えて伝言を残します。
23時30分:閉店後、「明日のランチ2名」の予約が入り、そのまま受け付けます。
翌朝10時:店主は届いた予約と伝言をまとめて確認し、送別会の件だけ自分で折り返します。前の日のうちに電話が取れなかった件はゼロで、店主が話す必要があったのは一件だけでした。
導入前に決めておくことチェックリスト
どの方法を選ぶにしても、事前に次のことを決めておくと運用がぶれません。
- 受け付ける予約の範囲:何名までなら自動で受けるか、何名以上は折り返しにするか
- 予約枠の管理方法:電話とネット予約、店頭での予約がぶつからないよう、どこで空き状況を一元管理するか
- 聞き取る項目:日時、人数、名前、連絡先に加え、子ども連れ、アレルギー、記念日など店として知りたいこと
- 答えてよい情報:営業時間、定休日、アクセス、駐車場、支払い方法、コースの概要など
- 人に回す条件:貸切や宴会、クレーム、アレルギーの詳しい相談など
- 折り返しのルール:誰が、いつまでに折り返すか
- キャンセルや変更の扱い:受け付けるのか、店に連絡を回すのか
避けたいこと
営業時間外のアナウンスが古いまま:臨時休業や年末年始の営業日が反映されていないと、お客様が混乱します。季節ごとに見直しましょう。
受けた予約を誰も確認しない:自動で受けた予約が台帳に反映されず、ダブルブッキングになるのは最悪のパターンです。開店前に必ず確認する習慣をつけましょう。
アレルギーの判断を機械に任せる:食材の詳細や調理工程に関わる質問は、間違えれば健康に関わります。「担当者から確認してご連絡します」と預かるのが安全です。
すべてを自動化しようとする:電話の温かみが店の魅力になっている店もあります。任せるのは「出られない時間」と「定型的な用件」に絞るのが現実的です。
人が対応すべき電話の見極め方
次のような電話は、人が直接話すべきです。
- 貸切、宴会、法事後の会食など、人数や予算、料理内容の調整が必要な相談
- 食物アレルギーや体調に関する詳しい質問
- 料理やサービスへの苦情、忘れ物、トラブルの連絡
- 常連さんからの個別のお願いや、取引先からの連絡
こうした電話を受けたときに、要点を聞き取って確実に担当者へつなぐことが、営業時間外の受付の大切な役割です。「機械が全部済ませる」のではなく、「人が対応すべき電話を、人の手元に正しく届ける」と考えると運用しやすくなります。
まとめ:まずは自分の店の「出られない時間」を把握する
最初の一歩は、どの時間帯に電話を取れていないかを把握することです。一週間ほど着信履歴を見返し、中休み、ピーク、閉店後、定休日のどこに不在着信が多いかを確かめてみてください。そのうえで、上のチェックリストに沿って「自動で受けること」と「人が受けること」を分けていけば、店に合った受付の形が見えてきます。
よくある質問
営業時間外の予約電話は、留守番電話だけでは足りませんか?
伝言を残してくれるお客様には有効ですが、残さずに切ってしまう方も多く、折り返しの手間も店に残ります。営業時間や折り返しの時間をアナウンスで明確に伝えるだけでも改善しますが、予約をその場で確定させたいなら、聞き取りと受付まで代わりに行う仕組みを検討する価値があります。
AIの電話受付で、予約の重複は起きませんか?
空き状況をどこで管理するかによります。電話・ネット・店頭の予約を一つの台帳で管理し、AI受付がその空き状況を参照する形にしておけば重複は防ぎやすくなります。導入直後は、開店前に受けた予約を毎日確認する習慣をつけると安心です。
年配のお客様は、機械が出ると戸惑いませんか?
戸惑う方がいるのは事実です。だからこそ、ゆっくり分かりやすく話すこと、そして人と話したい方には伝言を預かって折り返す選択肢を用意しておくことが大切です。営業時間中は人が出て、出られない時間だけ任せる形にすれば、常連さんとの関係も保ちやすくなります。
小さな個人店でも導入する意味はありますか?
少人数で回している店ほど、ピークや仕込み中に電話に出られない時間が長くなりがちです。一人で切り盛りしている店や家族経営の店では、営業時間外の受付を任せるだけでも負担が軽くなります。まずは不在着信が多い時間帯だけで試してみるのがおすすめです。
Ringhumは、営業時間外や手が離せない時間帯に代わりに電話に出て、予約や注文の受付、よくある質問への回答、伝言の取り次ぎを行うAI電話受付です。宴会の相談やアレルギーの詳しい質問など、人が判断すべき電話は要点をまとめて店にお渡しします。料金は料金ページ、設定の流れはヘルプセンターでご確認いただけます。